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東北地方太平洋沖地震:原発の賠償について Vol.03

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政府が原発賠償法案を閣議決定、法案審議の行方は不透明 | Reuters
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21681420110614
2011年 06月 14日 09:31 JST

 [東京 14日 ロイター] 政府は14日の閣議で、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所事故の損害賠償支援を行うための「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定した。

 東電による賠償を「迅速かつ適切」に進めるため、東電を含む電力会社が負担金を拠出して新たな機構を設立。公的資金の投入には、東電と機構が「特別事業計画」を作成し、主務大臣の認定を義務づける規定も盛り込んだ。閣議の後の会見で、海江田万里経済産業省は「できるだけ早く国会に法案を提出し、成立させたい」と述べたものの、菅直人首相の退陣時期も絡んで政局が流動化しており、法案審議の行方は不透明になっている。

 政府は、閣議決定を受けて法案提出のタイミングを探るが、菅首相の退陣時期をめぐる与野党間の綱引きが激化している中で、取り扱いは流動的だ。22日の今国会の会期末まで1週間あまり。特例公債法案など重要法案の成立メドが依然として立たない状況のなか、国会に提出しても廃案に追い込まれる可能性も否定できない。

 海江田経産相は会見で、支援を受ける東電は今後、適正な価格で資産売却を進め、スリム化をして、賠償負担をできるだけ電気料金に転嫁させないよう求めた。原子力発電については、引き続き基幹電力の1つであることには変わらないとの考えを示した。一部で東電が来年度から電気料金を16%値上げするとの報道については「あり得ない」と否定した。

 賠償支援機構法案は、今回の原発事故を受け、1)被害者への迅速かつ適切な賠償、2)福島原発の安定化と事故処理に関係する事業などへの悪影響回避、3)電力の安定供給──を確保することが狙い。

 5月13日に決定した賠償スキームに沿った内容で、損害賠償の支払いに対応する支援組織として、東電を含む電力会社が負担して新たな機構を設立する。機構には「運営委員会」を設置し、同委員会が東電への資金援助や機構の業務運営に関する議決などを行う。

 東電が機構から資金援助を必要とする場合は、運営委員会の議決を経て、資金の交付や株式の引き受け、融資、社債の購入などを行う。機構は必要な資金を政府保証債の発行や、金融機関からの借り入れで調達できる。

 賠償に公的資金を投入する場合には、機構と東電が「特別事業計画」を作成し、主務大臣の認定を得る必要がある。特別事業計画には、1)損害賠償額の見通し、2)賠償の方策、3)資金援助の内容と額、4)経営合理化策、5)ステークホルダー(関係者)の協力の要請、6)経営責任の明確化──を明記。主務大臣の認定を経て、政府が機構に交付した国債を現金化し、東電に資金を提供する。機構は事業者からの負担金で、国債の償還額に達するまで、国庫納付を行う仕組みになっている。

 また、法案には、法律施行後の適当な時期に、1)損害賠償の実施の状況、2)電力の安定供給など事業運営の状況、3)経済金融情勢その他の事業──などについて検討し、「所要の措置を講ずる」ことを盛り込んでいる。

*情報を追加して再送します。

原子力発電所事故による経済被害について(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/index.html
原子力損害賠償支援機構法案の概要(2)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/pdf/songaibaisho_110614_02.pdf

原発事故の賠償の概要図(経産省のWebページより引用)

原子力損害賠償支援機構法案条文
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/pdf/songaibaisho_110614_03.pdf

法案条文はこちら。

このスキーム及び法案でいくつか分からない事があるので、

  1. 原倍法と今回の支援機構法どちらが上位に位置(優先)するのか。
  2. 原倍法では東電及び政府以外には賠償責任を認めておらず、他の原子力事業者に倍書籍任を負わせる今回の支援機構法は、遡及法ではないのか。
  3. 支援機構法は、福島の原発事故に特化したものであり、安全運転を行ってきた他の原子力事業者にとってはデメリットしかない。
  4. 事故後の政府の対応不備による被害拡大の責任はどうなるのか。

これらの点についてまとめてみたいと思います。

まず、1と2について。

原子力損害賠償支援機構法案条文
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/pdf/songaibaisho_110614_03.pdf

(目的)
第一条

原子力損害賠償支援機構は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「賠償法」という。)第三条の規定により原子力事業者(第三十七条第一項に規定する原子力事業者をいう。第三十六条において同じ。)が賠償の責めに任ずべき額が賠償法第七条第一項に規定する賠償措置額(第四十条第一項において単に「賠償措置額」という。)を超える原子力損害(賠償法第二条第二項に定する原子力損害をいう。以下同じ。)が生じた場合において、当該原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行うことにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等(第三十七条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。)に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

抜粋引用の為、詳しくはリンク先をご覧下さい。

この支援機構法の第一条の条文をご覧頂けば分かる通り、原倍法を前提にしてこの法案は作られています。

以前のエントリーでも書いた通り、原倍法では

原子力損害の賠償に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html

(無過失責任、責任の集中等)
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2  前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。

第四条  前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。

抜粋引用の為、詳しくはリンク先をご覧下さい。

上記の通りとなっており、第三条において、賠償責任者が東電と政府である事を規定し、第四条において東電と政府以外の賠償責任を明確に否定しています。

となると、今回の他の原子力事業者に負担を求める原倍法を前提とした支援機構法の法的な位置付けがはっきりしないのは大変問題があるし、遡及法であると言えます。

次に3について。

原子力損害賠償支援機構法案の概要(1)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/taiou_honbu/pdf/songaibaisho_110614_01.pdf

1.法案の趣旨

東京電力福島原子力発電所事故による大規模な原子力損害を受け、政府として、

  1. 被害者への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置
  2. 東京電力福島原子力発電所の状態の安定化・事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避
  3. 電力の安定供給
の3つを確保するため、「国民負担の極小化」を図ることを基本として、損害賠償に関する支援を行うための所要の措置を講ずる。

これをご覧頂けば分かる通り、この支援機構法は福島の原発事故の賠償を主眼に置いたものであり、他の原子力事業者に負担だけを押し付ける為のものです。他の原子力事業者は、負担金の払い損という事になります。

次に4について。

以前のエントリーでも書きましたが、政府がベントの命令を出さず、出した直後に最高責任者である菅総理が現場に行き、ベントを遅らせ、水素爆発の原因を作った事や、海水注入を中断するよう命令をし、現場が命令を無視したこで、結果的に被害の拡大が抑えられた事。地震当日東電の清水社長を自衛隊機で本社まで送っていたところ、防衛大臣の命令で引き返させられ、原発の事故対応が遅れた事等々、これ以外にもまだありますが、政府の原発事故の収束の足を引っ張るかの如き対応は、枚挙に暇がありません。
法律上、政府が命令を行わなければ必要な対応が行えない状況の中で、政府が責任を果たさなかった事を無視して、賠償責任のないものにまで賠償をさせる事がよいとはとても思えません。

私は、以前のエントリーで書いた通り、原倍法第三条の但し書きを適用して政府が賠償責任を負うべきだと思います。
仮に東電に賠償させるにしても、今回は賠償責任者である東電と政府の負担の割合を決め、迅速かつ確実に賠償を実行していけるようなものでなければなりませんでした。

何れにしても、法的根拠や位置付けが曖昧で遡及法の色合いが濃い以上、すんなりとはいかないでしょうし、被害者に賠償金が支払われるのは先の事になるでしょう。

死刑執行に関しては、但し書きを最重要視する民主党が、今回の件では但し書きを無視しようとするのか理解出来ません。ただの人治主義者の集団だからと言ってしまえば、それまでなのでしょうけども。

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